アーキテクチャ ディシジョン レコード(Architecture Decision Record、ADR)は、ソフトウェア開発プロジェクトにおいて重要なアーキテクチャ上の決定を文書化するための軽量な方法です。ADRは、「何を」決定したかだけでなく、「なぜ」その決定に至ったかという背景や理由も記録します。
ADRの主な目的は以下の通りです:
一般的なADRは以下の要素で構成されます:
セクション | 内容 |
---|---|
タイトル | ADRの番号と簡潔な名前(例:「ADR-001: マイクロサービスアーキテクチャの採用」) |
ステータス | 提案中、承認済み、却下、置換、廃止など |
コンテキスト | 決定が必要となった背景や状況の説明 |
決定 | 実際に選択された解決策の詳細 |
結果 | この決定によって予想される結果(ポジティブ・ネガティブ両方) |
代替案 | 検討されたが選ばれなかった他の選択肢とその理由 |
関連事項 | 関連する他のADRや文書へのリンク |
以下は、ADRを作成する際に使用できる基本的なテンプレートです:
# ADR-NNN: タイトル ## ステータス [提案中 | 承認済み | 却下 | 置換 | 廃止] ## コンテキスト [決定が必要となった背景や状況を説明します。問題点や制約事項も含めます。] ## 決定 [選択した解決策を詳細に説明します。] ## 結果 [この決定によって予想される結果を列挙します。] ### ポジティブな結果 - [ポジティブな結果1] - [ポジティブな結果2] ### ネガティブな結果 - [ネガティブな結果1] - [ネガティブな結果2] ## 代替案 [検討したが選ばなかった他の選択肢とその理由を説明します。] ## 関連事項 - [関連するADRや文書へのリンク]
承認済み
新しいWebアプリケーションのバックエンドとフロントエンドの通信方法を決定する必要があります。考慮すべき要素として、開発の容易さ、パフォーマンス、チームの経験、将来の拡張性があります。
バックエンドとフロントエンドの通信にRESTful APIを採用します。JSONをデータ交換フォーマットとして使用します。
ポジティブな結果:
ネガティブな結果:
ADRは通常、以下のように管理されます:
docs/adr/
などの専用ディレクトリに保存するADRを導入することで得られる主なメリットは以下の通りです:
アーキテクチャ決定記録(ADR)は、ソフトウェア開発プロジェクトにおける重要な技術的決定を文書化するための効果的な手法です。ADRを活用することで、チームの知識共有が促進され、プロジェクトの長期的な維持管理が容易になります。特に大規模なプロジェクトや複数のチームが関わるプロジェクトでは、ADRの導入を検討する価値があります。